戸隠古道を歩く
創建以来約1400年の歴史を持ち、長野市を代表する観光地である「善光寺」。宗派の別なく誰でも分け隔てなく受け入れる庶民の寺として信仰を集める善光寺では、一年を通してさまざまな行事が行われています。
大勢のお坊さんたちがお経を唱え、太鼓や鐘を鳴らす厳かな法要はもちろん、本堂内の仏像を引き回したり、節分の豆をまいたり、盆踊りを楽しんだり…と、まだまだ知られていない魅力が盛りだくさんです。
この特集では善光寺の年中行事にスポットを当て、善光寺の若麻績秋嘉庶務部長にご案内をいただきながら、計5回にわたって行事をご紹介します。
今回は4月から6月まで、花いっぱいの善光寺で催される主な行事を取り上げます。
針供養(はりくよう)[4月8日]
©善光寺
折れたり、使い古されたりした針の供養と子女の健全育成を願って行われる法要。善光寺東公園にある針供養塔の前で午前11時から、大勧進貫主と大本願上人、一山住職によって執り行われます。全国的には2月8日か12月8日に行われる行事ですが、善光寺では毎年4月8日に行われています。
「この日は一日針仕事を休み、役目を終えた針に感謝の気持ちを表してはいかがでしょう」
善光寺花木寺子屋塾(ぜんこうじかぼくてらこやじゅく)[4月から11月まで]
©善光寺
善光寺本堂から北へ約1キロほど、山の中腹にある善光寺雲上殿。その南側に広がる雲上台公園や善光寺境内の庭園の環境整備を担っているのが「善光寺花木寺子屋塾」です。平成27年に発足した組織で、長野市内はもとより長野県内外から集まる会員は80名以上。講師を善光寺の顧問でもある園芸研究家、矢沢秀成さんが務め、年7回の講義、作業を行っています。
「善光寺花木寺子屋塾は、広く市民が参加して善光寺の環境整備を行い、善光寺の魅力をさらに高めるとともに、新たな“善光寺ファン”づくりを目指しています」
伝教講法会(でんぎょうこうほうえ)[5月4日]
©善光寺
天台宗を開いた伝教大師最澄の忌日(命日)に行われる「伝教会」(山家会(さんげえ))です。
仏都花まつり(ぶっとはなまつり)[5月5日] ※主催/長野市仏教会
お釈迦さまの誕生をお祝いする長野市仏教会主催のイベントで、宗派を超えて華やかに執り行われます。稚児行列や法要をはじめ、さまざまなイベントが市内各所で開かれます。
イベントのハイライトは午前中に行われる稚児行列。華やかな袴姿の子どもたち(就学前の幼児)が保護者に手を引かれ、表参道を善光寺に向かって練り歩きます。参道の人々からは「かわいい!」の歓声と、シャッターの音、音、音。
行列は善光寺に到着すると、稚児たちがお釈迦さまに甘茶を注ぐ灌仏(甘茶かけ)を行います。大香炉の前に特別に設えられた祭壇では、大勧進貫主・大本願上人を大導師とし、厳かに法要が営まれます。
盂蘭盆会(うらぼんえ)[天台宗 6月30日]
©善光寺
祖霊を供養するための法会で、天台宗では6月30日、浄土宗では7月31日に行われます。
午後7時から行われる法要の後、参詣者は誰でも僧侶が打ち鳴らす双盤の音に合わせて、妻戸台の大太鼓を叩くことができます。
鳴り物を鳴らすのは先祖供養の意味があり、子どもの姿も多く見られます。昔は本堂内でお籠もり(一夜を明かすこと)をして、百万遍の大数珠回しがにぎやかに行われていたそうです。今、参詣者が太鼓を打ち鳴らすのはその名残ともいわれています。
「一般の参拝者も法要に参加している感覚を味わえる法会です。善光寺にはこのように、一般の参拝者が参加したり、体感したりすることができる法要が多いんですよ。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか」
善光寺に関するお問い合わせは…
善光寺事務局 026-234-3591
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